2010/03/22

Alex Chilton, Dennis Wilson and Charles Manson

SXSWでのBig Starに関するパネルディスカッションでボクが知らなかった話が出てきた。
このパネルディスカッションはWall Street Journalのロック/ポップ部門担当記者である Jim Fusilli (wsjrock@twitter)が要所をtweetしていたので、以下彼のtweetを引用する。

"Beach Boys' Brother label was interested in Chilton's 1st solo album, but didn't buy."

ビーチ・ボーイズのブラザー・レーベルがチルトンの1stソロ(「1970」だね)に興味を持っていたけど結局契約には至らなかった。
という話。
結局この「1970」は発売するレコード会社が決まらず、そのまま長くお蔵入りしてしまうのだが。


当時、アレックス・チルトンとビーチ・ボーイズは一緒にツアーをしたりしていたので、たぶんその流れでの話ではあると思う。


そう言われて考えてみると、ビーチ・ボーイズ側はチルトンのこのアルバムからビーチ・ボーイズと同質の、アメリカの暗部を感じたのかなぁという気もする。

どちらもポップス畑での知名度はあるが、片やカリフォルニアの暗部を、片やディープサウスの暗部をそれぞれ感じさせる音楽を作り上げている訳であるし。


そして、ビーチ・ボーイズとの関係はチルトンにとってもう一つの、あまり語りたくない思い出を作ってしまう。

これも Jim Fusilli (wsjrock@twitter)のtweetを引用すると

"thru Dennis Wilson, Alex met Charles Manson, who sent him to buy groceries."

アレックス・チルトンは(ビーチ・ボーイズの)デニス・ウィルソンを通じてチャールズ・マンソンと知り合い、マンソンに酒を買いに行かされた...


恥ずかしながらまったく知らなかった、そんな出来事があったとは。
パネルディスカッションでその話が出る場面がこれ。(facebookの埋込ビデオなので、FBユーザでないと見えないかもしれません)
あまり笑う場面ではないと思うが。

ネット上を検索しても、その話はほとんど見つからなかった。
まず初出と思われるのが、英国の雑誌社 The Idler によるAlex Chiltonとのインタビュー。
Conversations: Alex Chilton
この中で、
IDLER: I read that you spent time with Denis Wilson in the company of Charles Manson. What was that like?

CHILTON: I really couldn’t tell you. In the three days or so that he and I occupied the same environment I hardly got to know him. He didn’t strike me as deeply dangerous, probably because I got to know him only slightly.
とチラッと語られている。

さらに探したら決定版と思われるものがあった。
ニューヨーク・タイムズなどにも寄稿する音楽ライターのニール・ストラウスがチルトンにインタビューした際に、オフレコとしていた部分を、チルトンの死後になってから自身のブログで公開していた ( "ALEX CHILTON, R.I.P." )。

まず、マンソンとの出会い。
A mutual friend said to ask you about the time you were staying with Dennis Wilson [of the Beach Boys] and met Charles Manson.
Chilton: Well I was staying at Dennis’s house and Charlie came after I had been there a few days and stayed too.
マリブの丘の上のデニス・ウィルソンの邸宅に数日滞在していたところにマンソン一味がやってきたらしい。

そして
I guess I’m curious.
Chilton: One time I was going to the grocery, and one of his girls got wind of that. And so she brought me a big, long shopping list of things that they wanted me to get—and no money to get it with. So I said, “Well, it’s alright.” It being the 60’s and California, I thought I could spring for some groceries. So this is out in Malibu, and we were staying up on the hillside looking down over the ocean. So I had to go all the way down the hill to the Pacific Coast Highway on foot and then carry all these groceries back up the hill. So that was kind of tough and when I got back, some of the girls like met me in the driveway before I ever got to the house. And they looked at the grocery bag and they said, “Well, you forgot the milk.” And I said, “Aw gee, I’m really sorry I forgot the milk. Too bad.”

Right.
Chilton: So they went on in the house and I sort of ambled on behind them. And by the time I got to the front door, they were standing in the doorway, blocking the door . And they said “Charlie says go get the milk.” (laughs)

So what did you do?
Chilton: I don’t know exactly what I said, but I think I said I wasn’t gonna go down to the bottom of the hill and bring the milk back up the hill.



ある時、酒屋に行こうとしてたら膨大な買い物リストを渡され、ついでに買って来いと。
丘を下って買いに行き、ひぃひぃ言いながら丘の上まで戻ったら、牛乳が足りねぇぞ! と言われたけど買い足しに行くのは断った。
というエピソードが語られている。

このエピソードがあったからか判らないが、チルトンのマンソンに対する印象は良くない感じ。
当時20歳になるかならないかのチルトンだから、マンソン達からすればいいようにあしらえる小僧みたいな感覚だったのだろうか。

それにしても、ボクの個人的に思い入れのあるデニス・ウィルソンとアレックス・チルトンがこのような形で関係があり、どちらにとっても忘れたい思い出でであろうチャールズ・マンソンが出てくるとは。

なんというか、世の因縁みたいなものを感じさせられる一件である。