Ronnie


ロニー・レインの生涯を追ったドキュメンタリー「Ronnie」をシアターNで観てきました。
ロニーの没後10年、命日が6月4日ということで、それに合わせての公開です。
シアターNでの公開は明日8日までだけど、その後も全国で上映されるようだし、英米ではDVDも既発なので国内発売も近いでしょう。
ロニーのみならず、英国音楽、70年代音楽が好きな人にはマストな映画ですね。

Facesのケニー・ジョーンズ、イアン・マクレガン(二人ともスゲー良い奴!)、スリム・チャンスのメンバー(実は英国の渋め系ミュージシャンたち)などのバンド仲間、クラプトンにピート・タウンジェンやジョー・イーライといったミュージシャン仲間、グリン・ジョーンズなどの音楽仲間、それにロニーの家族達のインタビューと貴重な映像がタップリ。

スモール・フェイセズ時代のパフォーマンスを映像で観たのは初めてなんですが、やっぱスティーブ・マリオットは凄いや。あの時代であの黒さ、あの激しさ。みんなビックリするだろうなぁ。でもマリオットもさらなる成功を求めてスモール・フェイセズを飛び出すんですね。確かにハンブル・パイで一時的にはトップに上り詰めるも、その後は自身のやりたい音楽と成功が結びつかず四苦八苦するワケですが。ハンブル・パイ後のスティーブ・マリオットって、実はとても好きなんですけど。結局ロニーとスティーブの辿り着いた先は同じような音楽だった訳ですし。

ロッド・スチュワートとロニー・ウッドが加入してからはフェイセズ。ロッドとウッディーが長身だったのでスモールはマズかろうということで、単にフェイセズ(笑。当時のフェイセズは英国ロックの最高峰だったんですけどね。ボクも物心付いてロックを意識し出したときは、ちょうど「馬の耳に念仏」が出た頃だったなぁ。
この映画でもフェイセズのライブがタップリ出てきますが、今から観ても凄いなぁ。ルーツ系のミクスチャー。泥臭く、歌心あり、観ても聴いても楽しいロック。酔いどれR&Rバンドというパブリックイメージがあって、実際それは本当のことでもあるんだけど、単なるR&Rバンドでない懐の深い音楽が’フェイセズの真骨頂だというのが良く判りますね。

スモール・フェイセズ、フェイセズと自分のバンドのボーカリストに人気を取られ、しかもその絶頂期に逃げられるという経験をした後、ミュージック・ビジネスの最前線から一歩引いたところで、音楽活動を始めるロニー。その生活と音楽に大きな影響を与えたのが2番目の妻であるケイト。この辺りの事情は知らなかったことなので、へぇーそうだったのかとようやく判りました。農場での生活と音楽が一体化した暮らしぶりは本当に楽しそう。実際スリム・チャンスのメンバーが当時を振り返り「農場の手伝いをさせられたりもしたけど、あの頃は楽しかったよなぁ」「あぁ、本当に楽しかった」なんて会話を交わしているほどです。

その頃から多発性脳脊髄硬化症という病に見舞われるロニー。米国へ移住しヒューストン、オースティンと居を移し最後はコロラドのボルダーで最期を迎える訳ですが、その最晩年の地元クラブでのライブ映像などは必見。ウー・ラ・ラを優しく歌うロニーの姿にはもう涙。どんな思いでこの曲を歌っていたのだろうか。「今の俺が知っている事を若い頃に判っていたらなぁ」と歌うこの曲は誰もが好きな永遠の名曲。当然この映画のラストはこの曲だろうと思っていたけど、このロニーの映像と歌声はボクの予想とはまるで正反対。若かりし頃の失敗を悔やむ意味ではなく、今の幸せが判っていればという、とても肯定的なものに感じられました。
金銭的には決して成功したとは言えないし、私生活も幸福ばかりではなかったけれど、遺してくれた音楽、仲間からの尊敬、その後の音楽界への影響を思うと、短かったけれども充実した人生だったのだなぁと感慨深いものがあります。
そして、ウー・ラ・ラの歌詞の別の意味を再認識したことも、ロニーの享年に手が届くところまで来たボク自身にとっての収穫でした。
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