The Piano Tuner of Earthquakes

再来週からイメージフォーラムで上映が始まるスティーブとティモシーのブラザーズ・クエイの新作長編「ピアノチューナー・オブ・アースクエイク」の試写会に行ってきた。

パペットアニメやピーガブのスレッジハマーで名高い映像作家だが恥ずかしくも初めて観た。
長編映画としては10年ぶり2作目。そして本作は実写とアニメのハイブリッド。

ストーリーはパンフなどにも記載されているとおり。分かったような分かんないような(笑
最初はファウストを下敷きにして、マッドサイエンティストはメフィストフェレスかなとか思い、登場人物の名前のアナグラなどムを考えてみたけど、全然違いましたね。ちゃんとパンフに書いてあった(笑

原案はアドルフォ・ビオイ・カサーレス(Adolfo Bioy Casare)の「モレルの発明」とレーモン・ルーセルの「ロクス・ソルス」。
ドひゃー・・・

カサーレスの「モレルの発明」といえば、ボルヘスに”完璧な小説”と賞賛され、アラン・レネの「去年マリエンバードで」にもインスピレーションを与えた作品として有名(未読だけど)。ということはマリエンバードとは異母兄弟みたいな作品ということか。ついでに言えば、ある登場人物の名前はアドルフォ・・・
レーモン・ルーセルもいわば極北の小説家。いずれにせよクエイ兄弟の感性や世界観を伺わせる選択ではある。

ストーリーのインスピレーションはカサーレスから、ドロス博士が製作した自動機械(オートマトン)群はルーセルを元ネタに、後は幻想的なセピア色のブラーズ・クエイの世界。
ストーリー的にはいくつかの愛情の形式をマジックリアリズム的に描いたと考えれば良いと思う。
結局、成就する愛は一つもなく、ドロス博士や主人公の目的も達せられず、自動機械の中に封じ込められた主人公たちは叶うことのない愛を永遠に繰り返し続ける。

さて映像の方だが基本は実写。自動機械の描写はストップモーションアニメ。
個人的にウケたのは人力フィルム逆回し。これは観てもらえば一目瞭然。
また舞台になる館がなんとも"澁澤龍彦のスペインにある別荘"風だったりしておかしい。
ともかく、スティームパンクを通り越してゼンマイパンクな自動機械、奇怪な人形やエロティックで意図不明な仕掛けなどがルナティックでスタイリッシュな映像で展開され、もう非常に満足。

また今回の試写会では今週末からのブラザーズ・クエイの回顧展で上映予定の「失われた解剖模型のリハーサル」というショートフィルムもおまけで上映。「ストリート・オブ・クロコダイル」と同時期の作品で得した気分。


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