Dave Lewis Live in Japan 2004

5年前に最初で(今のところ)最後の日本ツアーを行った元AndwellaのDave Lewisについて書いた文章。
当初掲載していたサイトを閉じてしまったので、一部修正加筆してこちらに転載しておく。



むか〜し昔の70年代初め頃、Andwellaという名前はそれなりに知名度があったように憶えています。
World's Endなんかはジャケットも印象的ですし、名前も知らない、ジャケットも見たことないという人は少なかったのではないでしょうか?

それがいつの間にか知る人ぞ知る存在になったのは、結局のところ、ジャンル分けが難しいその音自体に原因があったのかもしれません。フォークというにはロックぽさが強い、ブルースロックというには押しが弱い、スワンプと呼ぶほどアクも強く無いし、プログレというほど音が凝っている訳でもない、さらにこれぞというスタープレイヤーもいない。
中古盤屋さんでもどこのコーナーに入れて良いのか分からず、プログレに入っていたり、フォークのコーナーに置かれていたりしていましたからね。当時は未だ情報量も少なかったし、こういう音をカテゴライズすることができなかったのでしょう。

今から振り返ってみれば「米国の南部に憧れたアイリッシュ」。
つまり当時英国に文字どおり五万といた南部指向バンドの一つであり、堂々の王道ブリティッシュ・ロックに他なりませんが。

元々はアイルランドはダブリン出身で、アイルランド時代はMetodというグループ名。
しかもギタリストはあのゲイリー・ムーア!(発音はガリー・ムア)。
ベルファストなんて小さい都市だからこうした顔なじみ繋がりがいっぱいあるんでしょうね。1969年に英国に渡りAndwella's Dreamという名前でデビューアルバムを出しています。が、直ぐに名前をAndwellaと変え、さらに2枚のアルバムを出すのですが、商業的にはたいして成功しなかったようです。

結局、少数の人々に強い印象を残した2枚のアルバムを残して解散してしまった訳ですが、リーダー格でボーカリスト兼ソングライター兼ギタリスト兼キーボーディスト兼その他諸々OKでもあるDave Lewisだけが、ソロアルバムを4枚出すことになります。



1970 「World's End」

ちゃんと日本盤も出ていました。邦題は「世紀末」
ジャケットはキリストの顔のイラスト。写真では見えにくいけどJesus Christ と書いてあります。

これがAndwellaとしての最初のAlbum。
ここからキーボードが二人になったことと、B面のタイトル曲がストリングスとホーンをメインにちんたら演っている曲で、そこら辺で誤解が生まれプログレにジャンル分けされてしまったのかも?

 基本的に、Dave LewisがAndwella時代に書いた曲は3パターンしかなく、
・ミドルテンポのR&R → スワンプっぽく格好良し
・ミドルテンポのバラード → 歌い上げるVoがはまる
・スローテンポのバラード → 甘過ぎになりがち
ここでもこの3パターンの曲がうまく分散されて収められています。

パターンは3つしかありませんが、メロディが美しいことと、それにはまる声と歌い方を持っているので、それらが決まった時は唯一無比の強力なAndwellaワールドに浸ることができます。
 僕のLPはもう擦り切れ寸前だし、元からモコモコした音だったので、早くCD化されて欲しいです。
(当時は未CD化。その後正当な権利者(つまりDave Lewis本人)の了承を得ない限りなくグレーなCDが出て、2009年現在は正規番が入手可能)



1971「People's People」

これは2ndアルバムのUSA盤のジャケット。昔(70年代)はこういう格好したお兄さん達がいたなぁw

2002年時点ではなんと、世界中で日本のみCDが発売されていました。(ただし前述のとおり権利関係は非常にグレー。現在は正規盤が出てる)。
1stの方は欲しい奴(国内で推定400人)はもう持っている、知らない人は全然知らないという世界なので、こっちの方が市場は大きいとレコード会社が判断したのでしょう。

1stからリズムセクションを入れ替えているけど、例のDave Lewis節は健在です。個人的には全曲素晴らしいと思います。
特に1stでの暗くダウナーな感触がだいぶ変わり、当時の米国の流行り(CSN&Yとか)を、音に反映させるというより、「歌の気分」に反映させた感じがとても知的に思えます。

ただ1stもこの2ndも、サウンドに大きな変化はありません。ブルースを基盤にしながら、ちょっと青臭いメロディが乗ったキーボード主体のサウンド。似たサウンドを探すとProcol HarumのSalty Dog辺りが例に上げられるかと思います。



1976「From Time To Time」

パンク前夜にロンドンで録音されたDave Lewisの2ndソロ。
1970年に1stソロを自主制作で出している。基本は弾き語りで、そこにピアノとストリングスが被さる作品でかなり傑作。
でも、実質的にはこれが初ソロ作。一部ではクリス・レインボウがプロデュースしたことで有名かも。

イギリスの一人ビーチ・ボーイズと呼ばれる彼がプロデュースしたせい(?)か、ストリングスが入っていたり、ホーンが派手に鳴っている曲もあります。
まぁ、あのメロディにあの声が乗っていれば、そんなことは些細な事はあまり気になりません。そして、あのメロディ、あの声はこのアルバムでもやっぱり満載なのです。

ただAndwellaにあった、スワンプっぽさ、敢えていうと土臭さはあまり感じられません。次のアルバムと合わせて考えると、Dave Lewisという人は結構流行りを意識するタイプなのかもしれません。
(と書いたけど、後日直接本人に訊ねたところ。そうしたかったワケではないとのこと)
とは言っても決して悪いとか、このAlbumのレベルが低いという訳ではなく、僕的には積極的に好きなAlbumです。

ところで、昔から気になっているんだけど、後ろの車は何? そしてこのダサスーツはどこで買ったんだろう?



1978「A Collection Of Short Dreams」

1978年発表のソロアルバム。

今回はなんと、マイアミはクライテリア・スタジオでの録音を含んでいます。
当時のマイアミ、音楽的にも注目を集め始めていた時期で、(予算もないだろうに)わざわざマイアミまで行って録音してきたのは、何か狙ったところがあるのでしょう。

その狙った部分というのがおそらくAOR(当時の言葉で言えばMOR、Middle Of the Road)的なタッチ。結果、これまでになく明るくからっとした音になっています。
AORとしてみれば、曲も良いし、声も良いし、平均以上の出来だと思います。

でもでも、AORになってもやっぱり、メロディを聴けば、声を聴けば、「あぁ、Dave Lewisだなー」と分かってしまうのですね。

これ以降、Dave Lewisの名はぷっつり途絶え、またAndwellaの名も徐々に忘れられていきます。彼を好きな人たちはこの後20年以上、数枚のアルバムだけをり切れるまで聴き続けてきた訳です。
21世紀になってようやく日本でCD化されやっとDave Lewisのあの世界を浴びる程聴けるようになったのが夢のようですね。
(その後Andwella's Worldがヴィニール・ジャパンから盤おこしではあるけどCD化。なんでもマスターが消失してしまったらしい)

またDave Lewisの消息もほとんど不明。一時はデミソ・ルソス、あのアフロディティス・チャイルドに曲を提供したりステージを共にしていたらしいのですが、80 年代は主にロンドンのクラブ・シンガーに甘んじていたもよう。
でもサウンドがどう変わろうと、あれだけ特徴のある良い曲をかいてきた人ですから、たぶん業界のどこでも生きていけるんだろうとは思いますが。



ところが、2003年初春、ボクのもとに一通のメールが届きました。
送信者はキャロライン・ベル嬢という英国人。なんと現在のDave Lewisのマネージャー!
その後、何通かのメールをやりとりして、25年振りの新作アルバムがリリースされ、彼の公式Webサイトでのみオンライン通販していることなどを教えてもらいました。
また、彼自身の消息も聞くことができ、現在はベルファストに戻り、元気にステージ活動を行っているそうです。

彼の公式サイト(現在は閉鎖されている)を見てみると、コンテンツ量は少ないながらもとにかく元気な様子でよかった。
しかも、「遠く日本でもいまだ人気がある」なんてことが書いてあります。もしかしたらこのサイトのことかと思うとちょと嬉しいですね。

さらに2003年6月、こんどは自主制作盤だったまさに幻の1stソロ「Song of David Lewis」がVinyl Japanから再発!
だって、プロモーション用(楽曲提供用)にたった50枚しかプレスされなかったという噂すらあるアルバムですから。



2002「An Introduction」

これが25年ぶりの復活作「An Introduction」
なかなかブルージーで、でもいかにもデイブ・ルイスな声とメロディで健在ぶりを見せてくれました。

これだけでも嬉しいのになんと2004年2月7,8日の二日間にわたり待望というか念願というかとにかく鐘や太鼓で大騒ぎの日本公演決定。

果たして客の入りはどうなのか心配がないワケでもないけど、とにかくまさかボクが生きているうちにデイブ・ルイスのライブをこの目でしかも日本で観る事ができるとあって、初日のチケットは真っ先に買いに行き(整理券番号は7番)、彼の姿をこの目に焼き付け、声とメロディを身体に覚えさせようともうドキドキワクワクで出かけたワケです。



Dave Lewis Live In Japan 2004 at CLUB 251

結局、前売りを買った7日と、事情があって8日。両日とも行って来ました。

前半のセットはエレピとギターの弾き語り。
後半は和久井光司氏を中心にしたバンド(東京アンドウェラ)を従えての演奏。
ソロとPeople's Peopleからの曲がメインだったけど、特にバンド演奏は良かったなぁ。Andwella時代よりスワンピーじゃないの。
また長年クラブなどで歌い込み、加齢による体格も良くなったためか、声が以前より太く柔らかくなっていました。
歌い上げるタイプの曲など、もしかしたら昔より良いくらい。
しかし、ブルースを演るとギターを弾き倒してしまったりして、これはもうこの世代の英国ロッカーの業みたいなもんですね。
最後の曲はPeople's People
オリジナルは英国スワンピーな曲なんですが、東京アンドゥエラの演奏がディブをノセまくってくれたおかげで、正真正銘の米国スワンプ。もっと具体的に言えばドン・ニックスのゴスペルみたいになって大盛り上がり。

ライブ前には招聘元も含め感じていた不安を吹っ飛ばす最高のライブでした。



 初日のステージ終了後、急遽サイン会が始まりめいめい貴重なLPなど持参してサインをもらうのですが、ボクはこのサイトを印刷した紙切れ1枚だけ(笑
キャロラインにはそれを見せるだけでOK。でもとりあえず写真だけは一緒に撮らせてもらいました。

さらにその後、初日の打ち上げにも日本のファン代表として参加させてもらいました。

長い間好きで聴いてきたデイブの隣に座らせてもらい、一緒に酒を飲み話をすることができ、夢のような時間でした。ヴァン・モリソンがお友達でついこないだも家に遊びにきていたとか、日本にこんなにファンがいてアメイジングだとか、もっといろいろ聞きたかったような気もするけど、まぁステージ直後のナーバスな時期だし、もともとシャイな人でもあるようなので深く聞くのは遠慮しておきましたが。

でもゲイリー・ムーアが少年時代からの友人だとか、70年代のソロもそれなり満足しているとかの話も聞けましたし。
ちなみにこの写真、左がデイブ・ルイス。右の女性はマネージャーのキャロライン。でもこの時点ではキャロライン・ルイス。
つまり結婚してハネムーンを兼ねての日本ツアーだったようです。
(なおキャロラインはフラメンコダンサーのホアキン・コルテスのロードマネージャーなどもやってきたいわば業界人。ライブ後にまずやるのは楽譜の回収だったり、セットリストの回収だったり。早い話がやり手です)

最後別れ際に、「明日も来てくれるんだよね?君のために何か歌うから、リクエストはある?」と尋ねられたので、思わず答えたのが「Saint Bartholomew」。

初日のステージでやらなかったので「なんでだろう」と思っていたのと、この曲の歌詞がはるばる東京までやってきた彼にぴったりだなと僅か思い1秒で即答。

そして、二日目。ボクのリクエストにわざわざ応え「Saint Bartholomew」を2曲目に演奏してくれました。感激。もう30年近く待ったかいがあるというものです。


Set List
当日のセットリストは次の通り。2日目だけSaint Bartholomew が追加されてます。

1. Back To The Road
(Saint Bartholomew)
2. Unknown
3. Behind The Painted Screen
4. Love Is A Beautiful Thing
5. The World Of Angelique
6. Going To The Better Side Of Time
7. Lady Love
8. Learning To Walk
9. Put Away Your Tears
10. Such A Long Way To Go
11. Blues Like I Do
12. Midday Sun
13. On A Day Like Today
14. Drinking The Water
15. Paradise Isle
16. Sweet Seventeen Blues
17. Hard Act To Follow
18. I Got My Own
19. Are You Ready
20. People's People
21. Budding Affairs (encore)



Discography

[Andwella's Dream]
1968 Love And Poetry

[Andwella]
1970 World's End
1971 People's People< [Dave Lewis Solo]
1970 Songs Of David Lewis
1976 From Time To Time
1978 A Collection Of Short Dreams
2003 An Introduction
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